(教え子が妹になるっていうのは……妙な気分だな……)私こと真木野祐一(まきのゆういち)は、教壇に立ちながらそんなことを考えていた。産休を取った教師の替わりに、臨時で雇われたのだが、臨時雇いのはずだった私が常勤の教師として採用されたのは……。私の勤務態度が真面目だったからでもなく、教師として優秀だったからでもなく、今の妻のおかげである。今の妻・美冴(みさえ)の旧姓は六条。六条学園・現理事長の孫娘だ。彼女と結婚したおかげで、私は六条女学園に正式採用されたのである。教室にいるのは、全てうら若い少女たち。私は、教科書を読みながら一人の女生徒に目をやった。明るく快活な感じがするとの美少女こそ、六条美波(ろくじょうみなみ)。六条学園の理事長の孫娘であり、私の妻の妹である。つまりは義妹だ。美波くんは、私の視線に気づくと、嬉しそうに微笑む。俺は慌てて背を向け、黒板にチョークを走らせた。(考えすぎかな……。でも、最近の美波くんの態度は……)義兄への親愛を超えているような気がする。私を単なる親戚ではなく、ひとりの男性として見ているように感じられるのだ。(でも、それはまずいだろ……)確かに美波くんは、誰の目から見ても美少女だし、朗らかな性格は魅力的だ。ただ私は教師。踏み込んではいけない領域がある。そう決意した私は、もう美波くんの方へ目をやることもなく、授業に集中するのだった。
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